「カルダノ憲法」を、憲法委員の日本語訳で読む

カルダノ情報

カルダノ憲法委員(ICC)、SPO(ステークプールオペレータ)、そしてフリーランス編集者である管理人が、2024年12月5日にブエノスアイレス(アルゼンチン)で認定されたカルダノ憲法(Cardano Constitution)を全集中で翻訳!「世界一読みやすい日本語訳」を目指してお届けします。

カルダノ・ブロックチェーンエコシステム憲法

序文

カルダノは、ブロックチェーン技術、スマートコントラクト、コミュニティガバナンスの分散型エコシステムであり、あらゆる場所にいる、すべての人のための経済、政治、社会システムの改善に取り組むことを目的とする。この基盤となるインフラストラクチャを提供することで、カルダノは個人やコミュニティに対し、アイデンティティ・価値・ガバナンスを管理できる力を与え、分散化されたアプリケーションやビジネス、そしてネットワーク状態の発展を促進する。
私たちカルダノコミュニティ(個人、組織、貢献者その他で構成される)の参加者は、変更不可能なデータを公平に処理することを通じ、デジタル技術を通じてコミュニティの絆を最初に築いた初期のインターネットおよび暗号通貨の先駆者の足跡をたどることを選択する。我々は、分散型の意思決定と説明責任を両立させ、カルダノブロックチェーンのセキュリティを守り自己統治を実践するという、私たち共通の原則と信念に基づいて行動する。

伝統的な国民国家のガバナンスシステムに依存せず、またそれを前提ともせず、カルダノコミュニティによるガバナンスに由来した統治プロセスにおいて、可能かつ有益である限りにおいてブロックチェーン技術を活用する、より強固で柔軟な統治フレームワークの必要性を認識し、私たちは、カルダノブロックチェーンエコシステムを統治し、カルダノブロックチェーンの継続性を確保し、カルダノブロックチェーンを利用する人々の権利を守るために、ここに本カルダノ憲法を制定する。

これらの目的を念頭に置き、私たちカルダノコミュニティは、カルダノブロックチェーンにおけるエコシステムのガバナンスに参加するために、この憲法に従う意思を表明する。また、私たちの価値観を共有するすべての人々の参加を歓迎すると共に、私たちは別の道を歩みたい人々を妨げることもしない。

第1条 カルダノブロックチェーンの原則とガードレイル

1

以下の原則は、憲法委員会を含むカルダノコミュニティにおけるすべての参加者の指針とするものであり、提案されるガバナンスアクションはこれらの原則に基づいて評価されるものとする。なお、以下の原則の順序は、それらの優先順位を示すものではない。

原則1 カルダノブロックチェーン上のトランザクションは、遅延や検閲を受けることなく、意図された目的のために迅速に処理されるべきである。
原則2 カルダノブロックチェーン上のトランザクションコストは、予測可能であり、不合理であってはならない。
原則3 カルダノブロックチェーン上でアプリケーションを開発および展開しようとする者は、その目的を妨げられてはならない。
原則4 カルダノ・コミュニティによるカルダノブロックチェーンへの貢献、すなわちステークプールオペレーター(SPO)に対する報酬配分や、将来的な委任代表者(DRep)と憲法委員会(CC)メンバーに対する補償などについては、適切なトークノミクスを通じて、公平に認識され、記録され、評価されなくてはならない。
原則5 カルダノブロックチェーンは、ADA所有者の同意なくADAの価値またはデータをロックしてはならない。
原則6 カルダノブロックチェーンは、相互運用性を不合理に妨げてはならない。
原則7 カルダノブロックチェーンは、そのチェーン上に保存された価値および情報を安全に保持しなければならない。
原則8 カルダノブロックチェーンは、不合理にリソースを消費してはならない。
原則9 カルダノブロックチェーンのすべての利用者は、カルダノブロックチェーン・コミュニティの総意である、長期的な持続可能性および実行可能性と一致する形で、公平かつ公正に扱われるべきである。
原則10 財政的安定性は維持されなければならず、ADAの総供給量は450億(45,000,000,000,000,000 lovelace)を超えてはならない。

2

カルダノブロックチェーンは、本憲法の付録である「カルダノブロックチェーン・ガードレイル・アペンディクス(Cardano Blockchain Guardrail Appendix)」に定められたガードレイルに従って運営されるものとする。カルダノコミュニティは、必要に応じて特定のガードレイルをデジタル化し、それらをオンチェーンガードレイルスクリプトまたは組み込み台帳ルールを使用することによって、カルダノブロックチェーン上に直接プログラムおよび実装することができる。
「カルダノブロックチェーンガードレイル・アペンディクス」に定められたガードレイルと、カルダノブロックチェーン上にプログラムされ実装されたガードレイルとの間に矛盾が生じた場合、オンチェーン・ガバナンスアクションに従って置き換えまたは修正されるまでの間、カルダノブロックチェーン上に直接展開されたガードレイルのバージョンが優先される。憲法委員会は、適切なオンチェーン・ガバナンスアクションを奨励することで、このような矛盾を調整するよう努めるものとする。

第2条 カルダノブロックチェーン・コミュニティ

1

カルダノブロックチェーンの利用、参加、利益享受に際して、正式な会員資格は必要としない。その代わり、ADAの所有者、開発者、構築者、およびカルダノブロックチェーンのサポート、維持、利用をする者はすべて、カルダノコミュニティの参加者とみなされ、カルダノブロックチェーン・エコシステムの受益者とみなされる。したがって、カルダノコミュニティのすべての参加者は、本憲法の受益者であり、その権利、恩恵、保護を受ける資格があり、また、本憲法を支援し、維持することが期待される。

2

ADAを保有するカルダノコミュニティの参加者は、カルダノブロックチェーンエコシステムにおけるオンチェーンの意思決定プロセスにアクセスし、参加する権利を有する。これには、カルダノブロックチェーンに関するオンチェーンのガバナンスアクションへの投票および発議が含まれる。

3

カルダノコミュニティは、本憲法に従い、カルダノブロックチェーンを運営し、カルダノブロックチェーンのガバナンス活動に参加し、公平かつ透明な方法で紛争を解決することにより、カルダノブロックチェーン・エコシステムの完全性を維持する責任を有する。

4

カルダノコミュニティは、本憲法の規定に基づき、カルダノブロックチェーンのためのアプリケーションの開発と維持における協力や、カルダノブロックチェーン・エコシステムを支援するために必要または適切と判断される一時的または恒久的な組織、団体、その他の法人を設立する権利を持ち、それらの行動は奨励される。

第3条 参加型および分散型のガバナンス

1

カルダノブロックチェーンは、意思決定を促進し透明性を確保するために、可能かつ有益な範囲で、スマートコントラクトおよびその他のブロックチェーンベースのツールを活用した1つの分散型のオンチェーン・ガバナンスモデルによって統治されるものとする。ガバナンスアクションに関するオンチェーン投票は、本憲法および「カルダノブロックチェーン・ガードレイル・アペンディクス」に記載されたプロセスに従うものとする。オンチェーン・ガバナンスアクションは、「カルダノブロックチェーン・ガードレイル」に定められた1つの合意形成の閾値要件を満たす集団的な意思決定プロセスを通じて実行されるものとする。

2

カルダノブロックチェーンの抑制と均衡を確保するため、委任代表者(DRep)たちステークプールオペレーター(SPO)たち、そして憲法委員会(CC)という、それぞれ独立した3つのガバナンス機関がオンチェーン・ガバナンスアクションの投票に参加するものとする。

3

すべてのADA所有者は、本憲法および「カルダノブロックチェーン・ガードレイル・アペンディクス」に定められたとおり、オンチェーン・ガバナンスの意思決定プロセスにおける投票権を有する。また、すべてのADA所有者は、ガードレイルに従い、カルダノブロックチェーン・エコシステムのガバナンス構造に対する変更を提案する権利を有する。第三者のカストディアンやその他の代理人に自身のADAを保有させているADA所有者は、その第三者に対し、自らに代わって投票を行う権限を与えることも、またその権限を与えないこともできる。

4

チェーン上の特殊なガバナンスアクションである「Info(インフォ:情報)アクション」は、カルダノコミュニティが将来のチェーン上のガバナンスアクションの可能性を提案し、カルダノブロックチェーンに対するチェーン上の変更を行うことなくコミュニティの意見を把握するために存在する。この「Infoアクション」は、カルダノブロックチェーンに記録されることを除き、他にチェーン上の効果を有しない。第7条第4項に従い、「Infoアクション」は、提案されたカルダノブロックチェーン・エコシステムの予算およびカルダノブロックチェーン・トレジャリーからの資金引き出しに関連しても使用される。

5

オンチェーン・ガバナンスのプロセスにおける透明性を促進するため、すべての提案されたガバナンスアクションは、オンチェーンに記録または実行される前に、標準化され、かつ判読可能な形式に従うことが求められる。これには、カルダノブロックチェーンに記録される、すべてのオフチェーン上の関連コンテンツのURLおよびハッシュが含まれる。また、提案されたカルダノブロックチェーンへの変更を正当化するために十分な論拠(Rationale)が提供されなければならない。この論拠には、少なくともタイトル、要旨、提案の理由、および関連する補足資料が含まれるものとする。
すべてのオンチェーン・ガバナンスアクションの内容は、提案されたアクションの最終的なオフチェーン版の内容と、完全に一致していなければならない。
「ハードフォーク実行」および「プロトコルパラメータの変更」に関するガバナンスアクションは、カルダノブロックチェーンのセキュリティ、機能性、パフォーマンス、または長期的な持続可能性を損なわないことを保証するため、ガードレイルで義務付けられた十分な技術的な審査および精査を受けなければならない。
オンチェーン・ガバナンスアクションは、カルダノブロックチェーン・エコシステムに対する予想される影響を明確に示すべきである。
すべてのADA所有者は、オンチェーン・ガバナンスアクションに対する参加、提出、および投票に関するプロセスに対し、それが開かれた透明性を備え、不当な影響や操作から保護されていることを確認する権利を有する。

6

カルダノコミュニティは、本憲法を実効性のあるものとするため、必要に応じてオフチェーンのガバナンスプロセスの構築・維持および継続的な運営を支援することが期待されるとともに、カルダノブロックチェーンに関するすべての将来のガバナンスアクションについて、認識の浸透、議論、そして機会の確保に取り組むことも期待される。

第4条 カルダノブロックチェーン予算

1

カルダノコミュニティのすべての参加者は、いつでもカルダノブロックチェーン・エコシステムの予算を提案することができる。カルダノコミュニティは、カルダノブロックチェーン・エコシステムの継続的な運営、維持および将来の発展、そして本憲法で規定される分散型オンチェーン・ガバナンスプロセスの実施・管理・維持に関連するその他の費用をまかなうために、定期的に1つまたは複数の予算を提案することが期待される。カルダノコミュニティは、カルダノブロックチェーン・エコシステムのために1つの総合的な予算の提案することも、複数の予算を提案することもできる。これらの予算は、73エポック(約1暦年)以上の期間をカバーすることが期待されるが、カルダノコミュニティがより短期または長期にわたる予算を提案することを妨げるものではない。すべてのADA所有者は、オンチェーンの「Infoアクション」を通じて、定期的に1つまたは複数のカルダノブロックチェーン・エコシステムの予算を承認することが期待されている。本第4条第3項で規定されているとおり、カルダノブロックチェーンのエコシステム予算や、現在有効な予算を実行するために、必要に応じて、カルダノブロックチェーン・トレジャリーから資金を引き出すことができる。既存の予算は、この第1項に規定された同じプロセスに従って修正することができる。

2

カルダノブロックチェーン・エコシステムの予算の作成およびその管理には、意思決定を促進し透明性を確保するために、可能かつ有益な範囲でスマートコントラクトやその他のブロックチェーンベースのツールを活用するものとする。カルダノブロックチェーン予算には、カルダノブロックチェーン・トレジャリーから引き出した資金の使用を監督するためのプロセスが明記されるものとし、監督の責任を負う1人または複数の管理者を指定することを含むものとする。

3

カルダノブロックチェーン・トレジャリーの残高が、その時点で適用されている純変動限度額(net change limit)を超過する場合は、資金の引き出しは許可されない。カルダノブロックチェーン・トレジャリーからの資金引き出しは、カルダノブロックチェーン・ガードレイル・アペンディクスで要求される、その時点で有効なカルダノブロックチェーン予算に基づいて承認されているものであり、かつ、憲法委員会によって違憲と判断されていない場合にのみ許可されるものとする。

4

カルダノブロックチェーン・トレジャリーからADAを要求するすべてのガバナンスアクションは、その資金要求の一部において、ADAの使用状況に関する定期的な独立監査費用と監督指標の実施費用をまかなうためのADAを割り当てることが求められる。カルダノブロックチェーン・エコシステム予算に基づいてカルダノブロックチェーン・トレジャリーから受け取るADAの使用に関する契約上の義務には、紛争解決条項が含まれるものとする。

5

カルダノブロックチェーン・トレジャリーから引き出され、管理者によって直接または間接的に保持されたADAは、分配前にカルダノコミュニティが監査可能な1つ以上の独立したアカウントに保管されなければならず、これらのアカウントはステークプールオペレーター(SPO)に委任してはならず、事前定義された投票オプション『自動棄権』に委任しなければならない。

第5条 委任代表者(DRep)

1

ADA所有者は、ガバナンスアクションに参加するために、「DRep(委任代表者)」として登録し、自らガバナンスアクションに直接投票することができるほか、他の登録済みのDRepに投票権を委任し、代理で投票してもらうこともできる。

2

ADA所有者は、DRep(委任代表者)として登録する選択肢を持つものとする。また、ADA所有者は、登録済みのDRepに対し、自分自身を含む1人または複数のDRepに投票ステークを委任することが許される。DRepは、個人でも、組織化されたグループであってもよい。第三者のカストディアンやその他の代理人にADAを保持させているADA所有者は、その第三者に対して、所有者に代わって登録済みのDRepに投票権を委任する権限を与えることも、またその権限を与えないこともできる。DRepたちは、オンチェーン・ガバナンスアクションに対して直接投票を行い、投票権を委任したADA所有者を代表する権利を有する。DRepの投票における閾値は、「カルダノブロックチェーン・ガードレイル・アペンディクス」に定められている。
この投票システムは、ADA所有者がDRepを自由に選択し、DRepとして登録し、いつでも委任を撤回または変更できる「流動民主主義」モデルによって成立するものとする。

DRepは、委任者を代表する者として、自身の活動を規範化する行動規範を定期的に策定して、これを適宜更新すること、そしてこれを公表することが期待される。また、DRepには、その行動規範に倫理指針を含めることが推奨される。

4

カルダノコミュニティは、ADA所有者がDRep候補を検索し選別したり、DRepの行動規範を閲覧し評価するなど、ADA所有者が適切と判断する基準に基づいてDRepを選択できるようにするためのツールを作成、維持、および継続的に運用することを支援することが期待される。

5

委任者を代表するDRepは、その活動に対して補償を受けることが認められる場合がある。DRepは、自らの活動に関連して受け取ったすべての補償を開示する責任を負う。

6

DRepは、ADA所有者またはその代理人からDRepに指名されること、あるいはそのADA所有者または代理人に代わって投票を行うことを条件として、ADA所有者またはその代理人に対して補償を支払ってはならない。

【2024年12月29日更新分はここまで】

随時、翻訳を更新していきます!

最新の「カルダノ憲法草案」の原文はこちらから。
カルダノのガバナンスの仕組みについてはこちら→DRepってなに? カルダノのガバナンス総まとめ!

この「日本語版のカルダノ憲法草案」は「確かなクオリティと読みやすさ」を重視し、少しずつ翻訳を進める、プロジェクト形式のドキュメントであり、今後このページを更新しながら完成を目指します
おそらくコミュニティからも日本語訳が登場すると思いますが、最も読みやすく原文の意図を組み込んだ日本語訳をコミュニティに提供するため、また日本語訳の分散化を目的として、あえてCoffeePool独自の翻訳を進めていきます。

【翻訳者紹介!】
hix_coffeepool」は、カルダノ憲法委員(Cardano Japan)、ステークプールオペレータ(SPO)、そしてDRep [hix_coffeepool] として、多方面でカルダノ・コミュニティに貢献すべく活動しています。
またオフチェーンでは、イギリスの国立大学を卒業した後、大手出版社を含む複数の出版社にて、ビジネス書、翻訳書、語学学習書、雑誌、そしてWebメディア編集者として勤務した後、現在はフリーランスの編集者・ライターとして、出版社から依頼を受けて仕事をしています。

この「カルダノ憲法の日本語訳」では、これまでの経験とノウハウを活かして慎重に日本語化していきます。

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