【超訳チャールズ・ホスキンソン(07)】「知の分散化」こそ最強の開発力だ

2021/02/17 に公開された、「Dave Lee Investing」のデイヴ・リー氏による、チャールズ・ホスキンソン氏のインタビューを翻訳しました。(非常に濃い内容のため、連載記事として翻訳を進めていきます  第6回はこちら

――アカデミックなアプローチは非常に珍しい試みで、ピアレビュー論文の発表などはとてつもなく大きなハードルです。なぜそこまでアカデミックアプローチにこだわるのですか?

学会には、世界中の優れた人たちが集まっているからです。
ダメな人というのは奥深い知見を無視する専門家ですが、優秀な人たちは奥深い知見を探る専門家です。
もし優れた人たちを集めたいと思ったら、同じくらい優秀な人たちによってチェック&バランスがなされた環境が必要です。そうでなければ、本当に100%確かなことをやっているのか判断ができなくなります。

ピアレビューのプロセスは400年以上の歴史があります。その一方でコンピュータ工学はその中でも最も新しい分野です。物理学は非常に途方もなく長い歴史があり、生物学もまた非常に長い歴史があります。数学にいたっては5000年もの歴史があります。
それらに比べ、コンピュータ工学は20世紀に始まったばかりの分野です。この分野のピアレビューは「カンファレンス式」で、通常の学会のような「ジャーナル形式」ではありません。通常なら何年もかかるプロセスを、数週間か数ヶ月で行うような世界です。そのため、ピアレビュープロセスを踏んだとしても開発が大きく遅れるということはありません。通過地点と考えれば素晴らしい機能を果たします。
もう1つの良い点としては、よく第三者に出会うと「カルダノが機能する保証はどこにあるのか?」とよく聞かれます。
暗号通貨プロジェクトの創始者はすべて基本的には非常に優秀な人々です。
しかし、彼らはホワイトペーパーを出して「コードをみて!考えてみて!面白いでしょ」と言うものの、コンピュータ工学の専門家でもなければ数学者でもありません。資料を読んでみたところで、そこには記号が羅列されているだけで99.9%の人は理解できません。
そのような状態で、どうしてシステムが機能するかを証明することができるでしょうか。彼らは、ただ単に「宿題をやり終えた」と思い込んでいる少年少女たちに過ぎないのです。
つまり、彼らの成し遂げたことは、単なる個人崇拝にすぎないのです。
皆さんはそのカルトのリーダーが、自分たちをスターリン帝国のような場所に連れて行ってくれると信じているのです。そのリーダーが素晴らしい独裁者であることを願ってね。
独裁者というのは、人1人が持てる以上の力を持ったとき、すべての人にとって最悪の結果をもたらします。
私たちにとって超大事なことは「チェック&バランス(抑制と均衡)」です。創始者だったとしても、このルールの上に立つべきではなく、それによって行動を抑制されるべきなのです。
何か主張をする場合は、必ずシステム外部の第三者、もしくは同等の力を持つ人物によって正しいかどうか確認されなくてはいけません。
もう1つ、ピアレビューを経るメリットは、学会と連携することで「知の分散化」が構築されることです
私たちの論文は900もの引用がなされたとお話ししましたが、つまり900もの研究者グループによって論文が読まれた、ということを意味します。彼らの研究と何かしらのつながりがあったという事実があります。「これどう思う?ウロボロスを作ってみたよ?」といった会話が、それらの研究所で行われているわけです。
スタンフォードの研究者では、これを元にした「ナカモト・PoS」をつくり、それはまさに私たちが解決しようとした問題で「先に出されちゃったよ!」と悔しい思いをしたのです。
しかしこの研究は今では一般化されているため、私たちはそれを無料で利用することができます。このモデルは、すでに私たち自身が開発しないで使うことができたのです。

そして学会では、ビジネス現場では絶対に話すことができないような人物に会うことができるという大きなメリットがあります。
例えば、RSA暗号を開発したアディ・シャミアはとてつもない超大富豪です。ビジネスの現場であれば、気軽に彼に電話をかけて「Hey、アディ、一緒に仕事しようよ」などということは、とてもじゃないけどできません。
しかし彼は非常に学会での活動に積極的で、学会に出れば簡単に話すことができるのです。
私自身、彼とパネルをやることだってできました。彼とPoSについて話すことができたのは、非常に貴重な経験でした。

つまり、「個人崇拝」ではなく「知の分散化」を行うことで、普通なら絶対に話すことができない人物と話すことができるのです。
学会は真の意味でユニバーサルです。大学は世界中にあり、エチオピアの大学も、韓国の大学も、学会なら呼ぶことができます。自分がビジネスをできない国でも、優秀な人物が存在し、人とも交流が持てるのです。そうした人々を読んで「この論文を読んでよ!」と話しかけることができ、そこで質問が飛び交うわけです。
まさに「リングワ・フランカ(世界共通言語)」の世界観です。

こうした交流は非常に大切なことです。なぜなら私たちが作り上げているプロトコルは「The Next Big Thing(次の大きなこと)」につながるからです。
彼らが今後、人生に関わる仕組みを作っていくのです。彼らによって、アイデンティティ、プライバシー、銀行口座、支払いシステム、投票システム、不動産譲渡システムなどが運用されていくのです。

いったいどこの誰が、どうしたら、そのような重要なシステムを、シリコンバレーで気まぐれに物を作っては壊す25歳の坊やに託すことができるのでしょうか?

イーサリアムは、私たちより1年先にPoSゲームを始めましたが、実際に稼働させたのはカルダノが先です。私たちはピアレビューを受けた後にも関わらずです。ポルカドットは、私たちがつくったウロボロスをエコシステムの基盤としています。
つまり私たちのライバルというのは、私たちのコピーだったり、私たちより「速い開発力」を謳いながらも開発力が遅いプロジェクトなのです。
私たちは固い基盤の構築に時間をかけましたが、彼らはレイヤーやプロトコルを何層にも積み重ねているだけに過ぎません。
私たちはバックエンドに巨大なホッケースティックを作り、それによって、より優れたプロトコルを作り上げました。そしてそれは国際的なものであり、個人のカルト企業ではありません。

もし本気で分散化に取り組むのであれば、長期戦略というのがたった1つの道であると思います。
——続く

●本稿はカルダノステークプール「Coffee Pool」が作成しました。
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