憲法委員として、まずはPlominハードフォークの成功を祝福し、カルダノコミュニティに大きな感謝を述べたいと思います。
ガバナンスとネットワークの分散化がついに実現し、カルダノは「真の分散化」を達成しました。
創業者であるチャールズ、IOG、カルダノ財団、エマーゴが、自らの宣言通り、権力をコミュニティに委ねたことは、カルダノが真に世界を変えるために構築されたことを象徴するものです。これは、昨今の暗号通貨業界において最もポジティブな出来事の一つと言えるでしょう。
今回のハードフォークは、カルダノがこれまで中央集権的な強固なインフラを構築しながら、長年にわたってエコシステムを拡大してきた成果です。その結果、ついにガバナンスの中心がコミュニティ一人ひとりへと移譲され、カルダノは新しいフェーズへと突入しました。
私は、この一連の出来事を人類の歴史と重ね合わせて見ています。
かつて人類は、集団として団結し、効率的な経済活動を行うために、最低限のインフラを整える必要がありました。 そのために、強力な中央集権型のシステムを構築したのです。
生活の安定、治安維持、技術発展に必要不可欠なインフラが整う中で、科学技術が向上し、産業革命によって経済は爆発的なスピードで成長していきました。
社会のエコシステムが急激に拡大すると、中央集権型の社会ではイノベーションが阻害され、やがて成長したステークホルダーたちが中央集権型のシステムを破壊し、権力の分散(=民主主義)を実現しました。
経済の基盤となるインフラが整備された後は、権力を分散し、さまざまなクラスターがイノベーションを生み出すことで、さらなるエコシステムの拡大が引き起こされます。
これは、私たちが19世紀から21世紀にかけて目にしてきた人類の歴史であり、ブロックチェーンエコシステムにおいても同じことが起こると考えています。
私たちは、中央集権型システムによって技術基盤を整え、ここから世界中に広がるコミュニティに権力を分散させることで、今後のエコシステムにさまざまなイノベーションが生まれることを期待しています。
つまり、これまで人類がたどってきた道と同じプロセスによって、カルダノは今後100年にわたって続く最高のエコシステムを世に放とうとしているのです。
しかし同時に、私たちは慎重でなければなりません。
20世紀から現在にかけての歴史を振り返ると、分散型社会の一つである民主主義は、必ずしも永遠に分散化を保証するものではありませんでした。
一度権力が分散化されたとしても、それを再び集中させようとするプレイヤーが常に現れます。
実際、かつて分散化された権力が再び中央に集まり、民主国家が独裁国家へと変わり、最終的に崩壊した例は数多くあります。
現代においても、私たちは特定の政治運動が権力を中央に集約しようとし、ジョージ・オーウェルが『1984』で描いた中央集権型社会に近づくような危機を目の当たりにしています。
これは決して過去の話ではありません。
AI、金融サービス、デジタルアイデンティティ――これらの技術は、分散化を促進する一方で、中央集権を構築する強力な武器にもなり得ます。
権力が再び集中するリスクは、遠い未来の話ではなく、今この瞬間にも私たちの生活の中に存在しているのです。
そして、現代の民主主義国家ですら、このリスクから完全に自由ではありません。
カルダノにおいても、民主主義における中央集権化のリスクを完全に回避することはできません。
DRep委任の仕組みを見ても、このままでは権力が再び集中する可能性があることがすでに見えています。
だからこそ、私たちは、創業3者が築き上げた、安全で信頼できるガバナンスを正確に引き継ぎ、それ以上の仕組みを構築していく責任を負っています。今後、さらに大きなステークホルダーが参入してきた際に、私たちは同等のガバナンスを維持することに努めなくてはいけません。
これは、多くの私たちにとって大きな挑戦です。
私たちは、チャールズと創業チームに深い尊敬と信頼を寄せています。だからこそ、その役割を引き継ぐことが決して簡単ではないことも理解しているはずです。
チャールズは、シェリー時代の始まりに、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』の次の一節を引用しました。
“I was benevolent and good; misery made me a fiend. Make me happy, and I shall again be virtuous.”
(「私は元々、善良で思いやりのある存在だった。だが、不幸が私を悪魔に変えた。私を幸福しろ。そうすれば、私は再び善良になるだろう。」)
この物語が語るのは、無知と憎しみが、もともと善良だった存在を自滅へと追い込んでしまうということ。
私は、ガバナンスも同じ道をたどる可能性があると考えています。無知や無関心が、私たちのエコシステムを自己崩壊へと導く可能性があるのです。
だからこそ、この歴史的な転換点を祝うと同時に、私たちは忘れてはなりません。
ガバナンスは、必ずしもアクティブに参加する人たちだけのものではありません。
あなたがガバナンスに興味がなくても、ガバナンスはあなたに興味を持っているのです。
これは、私たち全員が背負うべき責任です。
この新しい時代の分散化が、再び中央集権へと逆戻りしないようにすること。
私たち自身の手で、皆んなで知恵と勇気を振り絞り、分散化への揺るぎないコミットメントを持って、カルダノを導いていきましょう。 🚀
<了>
参考:
カルダノの分散化を「流動民主主義」で理解する
DRepってなに? カルダノのガバナンス総まとめ!
「カルダノ憲法」を、憲法委員の日本語訳で読む
本稿はカルダノステークプール「CoffeePool☕️」「CardanoKissa☕️」が作成しました。
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