2022年5月に配信された「Cardano360」において、IOGが開発中の新たなソリューション「Mithril(ミスリル)」の解説と進捗が公開されました。Mithrilは、ブロックチェーンのスナップショットを分散ネットワークによって作成&保存する技術です。これによりブロックチェーン同期を省略し、ノードの高速な稼働が可能になります。
本稿では、解説動画を丸ごと日本語訳でお届けします。
(以下、CoffeePool訳)
Roy:
こんにちは、私はロイです。私はIOGで多くのプロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めていますが、今日ここでお話しするのは「Mithril(ミスリル)」です。Mithrilをご存じない方のために説明すると、ステーク証明のためのステークベースの閾値署名スキームです。このプログラムのTechnical ArchitectであるArnaud Bailyが、現在の状況について説明します。
まずは、このプロジェクトの全体的な目標について教えてください。
Arnaud:
ご存知のように、現在はカルダノと真に安全な方法で連携する唯一の方法は「カルダノノード」を実行することに限られています。これは、そもそもカルダノがカーネル・コンセンサス・プロトコルを提供するカルダノノード(*)のネットワークであるためです。安全性とコンセンサスを同時に提供するプロトコルですね。
しかしご存知の通り、カルダノノードは、起動と同期に多くの時間がかかります。これは、チェーンを構成するすべてのブロックをダウンロードして1つ1つ検証する必要があるためです。
そこで「Mithril(ミスリル)」では、SPOが運営する既存のカルダノネットワークを活用し、この「チェーンの状態の認証スナップショット」を提供することを目標としています。
これらのスナップショットはさまざまな形態が考えられます。最も単純なものとして考えられるのは、私たちが「Caradano the nodes pure db(カルダノノード・純粋データベース)」と呼ぶ、Cardano分析を実行するのに適したスナップショットの提供です。
しかし他の案として、全UTXOセットの「認証スナップショット」を提供することで、その証明に基づいてライトウォレットを運用する、という方法も考えられます。
この方法で面白いのは、「Mithrilプロトコル」で生成された証明書が、カルダノの基本的なコンセンサスである「Ouroboros Praos」と同じセキュリティ特性を持っていることです。
つまりMithrilクライアントは、通常のエンカウンターノード・ユーザーと同じように、トラストレス保証を受けられるということです。
Mithrilを提供するにあたって重要なことは、この機能をネットワーク上において、カルダノネットワークの通常の運用を妨げることなく、非侵入的な方法で提供可能にすることです。Mithrilは厳密には追加機能であり、既存のネットワークの上で追加サービスとして提供することになります。
*)カルダノノードは、ステークプールやダイダロスウォレットを稼働するベースとなっている。
Roy:
Mithrilの仕組みについて、もう少し詳しく教えてください。
Arnaud:
「Mithril」は、「各所有者のステーク量によって署名を生成する」という、優れた暗号化スキームによって機能します。そのためステークホルダーは、あらかじめ定義された間隔で、チェーン上の通貨に署名を試みます。つまり、Mithrilのパラメータと所有者のステーク量に応じて、1つもしくは複数の署名を発行権限が与えられます。
一つの例えとして、宝くじで考えてみるといいでしょう。賭け金の額に応じて、宝くじのチケットを引くわけですが、賭け金の額に応じて、例えば投票するチケットの額に応じて、当たり券を持つ確率が高くなります。
Mithrilもこのような考え方です。
相当数の当選チケットがすべてのステークプールに配布されれば、1または複数の当選チケットがSPOに与えられます。そして、あらかじめ認定されたステークホルダーによって、チェーン上の通貨に対する承認済みの署名が発行されます。
これが、Mithrilにおける「スナップショット」です。スナップショットはクライアントに提供され、クライアントはそれを検証することができます。 いわば宝くじに当たった人たちの署名の集合体(ここでいうスナップショット)をチェックすることで、それが実際に正しいものかどうかを確認するのです。
この検証では、ステーク量が正当であるかどうか、実行命令が正しいかどうか、その他の一般的な証明書に至るまで、この「認証済チェーン」のチェックが行われます。証明書の有効性が確認できれば、あとはスナップショットをダウンロードするだけで、面倒な検証をすることなくノードをブートストラップすることができます。
Roy:
カルダノサミットで、私たちはMithrilを紹介しましたね。それ以来、特にMithril Aggregatorコンポーネントにおいて、チームは大きな進歩を遂げました。進捗について、少し詳しく教えてください。
Arnold:
最初のステップは、必要なグラフィックモチーフを実装することでした。これは高度な数学と、市場で入手可能な標準的なプリミティブではすぐに利用できないものに依存していました。このライブラリが「Mithril Core」であり、現在ほぼ完全な機能を備えています。
私たちが現在取り組んでいるのは基礎となる部分である「ミスリル・ネットワーク」の最初のバージョンです。ここでのゴールはカルダノノードを迅速かつ簡単に起動できるようにすることです。これらはすべて、正しく動作させるための可動部品を持っています。
署名者(Signer)の役割はSPOが担い、SPOはスナップショットの署名を発行する責任を負い、先ほど説明したように宝くじのくじを引きます。
もう一方の「Mithril Client(ミスリル・クライアント)」は、証明書を検証し、スナップショットをダウンロードするものです。「Mithril Aggregator(ミスリル集約者)」も重要な役目を担っていて、署名を集約し、クライアントが使用する証明書を作成する責務を負います。
また、さらに重要なのは、Aggregatorがスナップショット自体の「保存と配布」を担当することです。このスナップショットは、メインチェーンで数十ギガバイトにもなる巨大なもので、時間が経つにつれてどんどん大きくなっていく可能性があります。
このようなスナップショットに署名し、それに対応したものを開発することは、ちょうど4Ksの高解像度映画を配信するようなものだと想像してください。数十ギガバイトまで増大する可能性もあります。
では、それを効率的に行うにはどうしたらよいのでしょうか。Aggregator は、すべてのクライアントにとって効率的にするための非常に重要な役割を担っています。
現在取り組んでいるのはシンプル化です。
そして本当に最初のステップは、このAggregatorを集中的に実装し、Mithril Signers(署名者) と Mithril Aggregator(集約者) が、いくつかの呼び出しを通じて直接互いに通信するようにすることです。
最終的なゴールは、完全に分散化された産業用ソリューションとなることです。これは私たちがすでに検討しており、次のステップに取り組んでいく予定です。この最初のMVPは、Signer(署名者)とAggregator(集約者)が分散型で動作し、新しいAggregatorを簡単に構築できるようにすることです。また「集約」と「署名」のスナップショットをさまざまな方法で配布し、革新的な仕組みや配布方法でクライアントに価値を提供する可能性もあります。
IPFSやBitTorrentも、ビジネスモデルやインセンティブを変えれば、そのような用途に使えると思います。
Roy :
では、「ミスリル」の次の段階はどうなっているのでしょうか?
Arnauld:
現在は、ライブラリ全体のオープンソース化に向けて、コードのクリーンアップの最終段階に入っています。また、Mithrilを使い始めるために必要なドキュメント資料を提供する予定です。
短期的な目標としては、システムをベータテストのためにコミュニティのメンバーにリリースしテストできるまで安定させることです。今から数カ月の間に、十分な数と経験をを積んだ後、オンチェーンでの一般公開と進む予定です。
【了】
【合わせて読みたい↓】
「Plutus(プルータス)」徹底解説!2022年6月HF【超訳カルダノ】
本稿はカルダノステークプール「CoffeePool☕️」が作成しました。
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