「複数プール運営」について聞かれたときにCOFFEが話すこと

カルダノ情報

「ステークプールの複数運営について、どう思いますか?」
プール運営をしていく中で、たびたびこのような質問をいただくことがあります。
CoffeePoolは、ルールやシガラミが苦手なフリーランス編集者が運営する小さなプールなので、基本的には「皆さん、自由に運営されると良いかと思います」とお答えしています。
しかし、ステークプールのあり方と言うのは今後も継続的な議論が続いていく話題だと思いますので、本記事で「複数運営の議論の整理」を試みたいと思います。

*本記事の狙いは、あくまで議論の整理であり、他のプールの運営方針に対する意見ではありません。また、CoffeePoolにおいてもこの問題の結論を出すことを意図していません。

「プールの複数運営」とは?

60以上のプールを運営し膨大なブロック生成数を独占しているバイナンス(2021年4月時点)

「ステークプールの複数運営」とは、1人(または同一グループの)オペレーターが、複数のステークプールを運営することを指します。
CoffeePool☕️であれば、COFFE1、COFFE2といったように、2つ以上のプールを運営するようなイメージです(写真は「1percent pool)。
カルダノのステーキングでは「委任量が飽和点(saturation)に達した場合に報酬量が減少する」というペナルティがあるため、委任量が飽和点に近づいたプールの多くは「COFFE2」などの新規プールを設置して、そちらに委任をお願いすることで飽和状態になることを防いでいます。

複数プールの運営のメリットとは?

1人のオペレーターが複数のプールを運営することで、プールオペレーターと委任者は、下記のメリットを得ることができます。

【複数プール運営側のメリット】

固定費「₳340×運営プール」分の収入増加
・努力の結果が収入に反映されるため、モチベーションの維持や向上に繋がる
・プール運営の高いモチベーションが、安定した運営に繋がる
・支持してくれた委任者へのニーズに答えることができる

【委任者側のメリット】
・信頼するプールが飽和しても委任を継続できる
・第二希望、第三希望のプールを剪定する時間的・経済的リスクを軽減できる

まとめると「運営側は収入UPによりモチベーションが向上し、委任側は高いモチベーションで活動するプールへ継続委任ができる」というメリットがあります。
2つ以上のプールを設立し、安定した稼働を行うには1つのプールを運営する以上のマーケティングや運営コスト、作業コストがかかります。
固定費などによる収益が見込めることで、より活発な情報配信や安定運営に還元する可能性が高まります。

以上の観点を考慮すると、プールの複数運営はプールオペレーターと委任者両方にメリットがあると考えることができます。

複数プールの運営の問題点とは?

ビットコインのマイニングプールの内訳(2021年4月時点)
(https://www.buybitcoinworldwide.com/mining/pools/)

「複数プール運営についてどう思いますか?」という質問が出る大きな理由としては、カルダノの分散化を阻害するという要素があるためです。
ビットコインの場合、少数の少ないマイニングプールがトランザクションを独占することで、分散化が阻害され権力の集中化が起きているという問題があります。
カルダノの場合、このような「少数プールによるトランザクションの支配」が発生しないように、各プールに「飽和点」を設定し、さまざまなプールに委任が集まることで分散化を促進するように設計されています。
その一方で、複数プールの運営におけるメリットが優先され、実際には影響力の強い一部のプールに委任が集中する事態が起きており、一部のSPOたちが問題視しています。

現在のカルダノでは、ビットコインほどの偏りはないものの、一部のプールが大きなグループを形成している状況があり、複数プール運営に対して懐疑的なプールも存在しています。

複数プールを抑える「Pledge」の役割と問題点

IOGは分散化を促進するために、複数プールの大量増加を抑えるため、ステークプール運営に対して「Pledge(誓約金)」を設定しています。
Pledgeは、運営しているプールのアドレスに入金したADA金額によって設定される値です。プール運営者がプールアドレスに入金し、Pledge金額を宣言することで有効となります。
設計上では、このPledge金額が多いほど委任報酬が高くなるとされています。
つまり、「資金を複数プールに分割するより、一点集中した方がメリットが高い」という状況を作り出すことで、複数プールの増殖を抑えようというものです。
しかし現状ではPledgeの設定には非常に微量で、「いくらPledgeしても、大きなメリットがない」という状況となっており、プールの増殖を抑える要素として機能していないという意見が圧倒的多数となっています。
CrownsStakepoolの情報によると、誓約金パラメータa0=8の場合の委任量の差は、次のようになっているようです。

【Pledge量と委任報酬の比較:₳100kを委任した場合】

10k pledge 2% feeのプール  → 年間661.42 ADA
1M pledge 2% fee のプール  → 年間662.05 ADA
年間で0.63ADAしか差が出ない
つまり現状では、Pledge金額に大きな差があったとしても、誤差レベルの違いしか発生しないという見方が多く、1つのプールに運営者の資金を集中するメリットがほぼゼロという状況となっています。
こうした批判を受け、IOGでは2020年3月のブログで「出資の変更について議論を重ねる」と表明し、変更に向けた調査が始まっていますが、変更は当面先になるとの見方が有力です。
以上のことから、1つのプールにこだわるメリットより、複数プールを運営するメリットの方が大きいという状況となっています。
このような状況から、努力の恩恵として「可能であれば複数プールを設立する」判断を行う流れが主流になりつつあります。

プール運営と分散化のジレンマ

一般的に、ステークプールの立ち上げを行う際、オペレーターには2つの大きなモチベーションがあります。
①カルダノの分散化に貢献したい
②収益を上げて資産増加をはかりたい
CoffeePoolでは、カルダノの健全な発展のためには、①と②を同時に叶える必要があると考えます。
①「分散化に貢献する」ためだけでは、努力が続きません。
ステークプールの運営には、サーバーコストや技術習得コスト、そして情報配信などの時間的コストなどの負担がかかります。特に、ブロック生成が増えてくると1エポックに生成するブロック数も増え、より頻繁にサーバー監視を行う必要があったり、アップデートなどのメンテナンスの際はスケジュールにも気をつける必要があります。
これらのコストを考えたとき、頑張った分の褒美(=リワード)がなければ、よほどのマニア出なければ参加することはありません。
最終的に「マニアだけのプール運営」となり、SPOのダイバーシティが失われてしまいます。

②「収益を上げたい」だけでは、集中化が起きます。
現状の問題では、収益を上げたいというニーズを満たす手段として「複数プールの運営」を選択するプールが増えています。現在のプール固定費₳340で、1エポックで1つブロックを生成するだけで毎月24万円近くの報酬となります。
その結果、毎エポックで1ブロックを生成できる委任量(8M程度)が確定したプールでは、委任量を拡大するよりも新規のプールを立てる方が利益に繋がる可能性が高く、複数プール運営による集中化を招く可能性が高まります。
IOGでは現状のADA価格を踏まえ、固定料金の引き下げについても議論しているようです。
この①と②が両輪で動かない限り、緩やかに集中化へ進んでいく懸念があると言えるでしょう。
始めは「カルダノの分散化に貢献しよう!」と励んでいたプールも、委任量の増大とともに「リワードと努力のバランス」が保てなくなり、複数プールの設置を決断するに至る場合が増えています。
もちろん、熱心なプールであればあるほど、「自分を信頼してくれた委任者の期待に答えたい」という思いも強いはずです。

「マージン1%以下」が分散化に与える影響

現在のカルダノのステークプール事情には、①と②に関する2つの問題点があります。
【マクロ視点】過剰な複数プールの運営は分散化を阻害している。
【ミクロ視点】分散化に貢献した場合のメリットが乏しく、運営者が疲弊している。
現状での解決策として考えられるのは「低マージン文化からの脱却」が1つあげられるかもしれません。
上記で紹介した「1PCT」は、「マージン:5%」が主流だったテストネットで彗星のように現れ、多くの委任者を獲得しました。
しかし、1PCTという制限を自ら作ったためにマージンによる収益があがらず、大量プール運営へと舵を切った結果、32プールの同時運営へと発展したと考えられます。
下の表は、pooltoolで見た、「1PCT3」のリワードです。

エポックブロック委任量委任者報酬プール料金(固定費+マージン)ROS
2574640.7m34.0k683.06.29%
2563740.4m27.7k619.05.13%
2553139.7m24.5k587.04.60%
委任量約40M、マージン1%のプールにおける報酬量(2021年4月時点)

ROSの中央値は大体5.3%付近とすると、上の表のエポック257のマージンである「₳619」が、委任量40M付近でのプール料金です。これを見ると、固定費+マージンの料金が「固定費340×2=₳680」より下回っていることがわかります。

一方で、委任量がおよそ18Mの「1PCT9」をpooltoolで見ると、次のようになります。

エポック ブロック 委任量 委任者報酬 プール料金(固定費+マージン) ROS
257 17 18.8m 12.4k 464.0 4.90%
256 21 18.9m 15.6k 497.0 6.21%
255 14 17.7m 10.9k 449.0 4.58%

委任量が18Mのときのプール料金はおよそ₳470ラインです。つまり「マージン1%」の場合、
委任量40M→プール料金 約₳619
委任量18M→プール料金 約₳475
つまり、委任を飽和点まで集めるより、委任量18Mのプールを2つ作る方が利益率が高いと言えます。
ホルダーの多くが低マージンのプールを好む傾向を鑑みると、複数プール運営が選択肢として優先されるのは自然な流れと考えられます。

マージン設定と委任募集の最適解は?

では、「分散化とプール運営の努力対効果」の両方を満たす方法はあるのでしょうか?
ものすごくシンプルに言えば、「マージンを高めに設定する」ことで、プールを2つに分けるよりも収益性が高まり、結果的に複数プール運営を抑制することができると考えられます。
先ほどの「1PCT」プールでの委任量について、より分解して考えてみましょう。(シンプル化のためランダム要素を排除してざっくり計算しています)

複数運営を防ぐためのマージン設定は?

【委任量40M】→プール料金 約₳619→固定費₳340+マージン₳279
【委任量18M】→プール料金 約₳475→固定費₳340+マージン₳135

18Mのプール2つを運営する場合、プール料金は 約₳950
と考えると、40Mでのマージン料金Mは、次の計算式で考えることができます。
₳279×M+₳340 ≧ ₳950
M ≧ 2.18
ざっくりとした計算ですが、40M付近でマージン2.18%以上とすることで、18Mプールを2つ作る場合と同等以上のプール料金となると言えそうです。

マージン設定変更の難しさ

しかし、「分散化のために、最低マージンを2%以上にしよう!」というのが早計なのは言うまでもありません。
CoffeePoolも0.8%で運営していますが、小さなプールの場合、エポック内でブロック生成が0の場合もあるため「固定費+2%」は委任者に対して大きな負担となります。
また、小さなプールは低マージンに設定することで委任者への訴求に繋がります。
委任者への配慮、分散化、努力対効果という3つの要素のバランスをとった運営を考えたとき、現状から考えられる折衷案は「段階的なマージン設定」かもしれません。

段階的なマージン設定とは?

CoffeePoolでは、複数プールとマージン」の反響をきっかけに、下記の累進マージン制での運営を行いたいと思います。(2021/5/28追記)

【委任量による累進マージン制】

10M以下 →0%
10M〜20M →0.8%
20M〜30M →1.1%
30M〜40M →1.6%
40M〜50M →2.2%
50M〜 3%(状況次第で複数)
50M以降を高めにする理由は、

・複数プールの設置メリットを相殺する

・委任者の分散を促す(低マージンの小規模プールへの分散を後押しする)

という狙いがあるためです。さらに許容ができなくなった場合の解決措置として、複数プールへの移行を検討する、という方針です。
・20Mプール
・10Mプール×2
は「ブロック生成数」の観点で大きな差がありません。2つのプール合計が62Mに満たない場合、分散化を阻害しないと考えられます。
(固定費分が余計にプロトコルに発生するデメリットはあります)
そのため、複数プールの設置をした場合は、さらにマージンを高めて委任の分散を促進する、という方向性も合わせて検討します。
50M移行で複数プールを設置する場合、最初から3%での運営を行う方針が良い気がしています。
現状のデータから換算すると、1ブロックあたりの報酬は約₳725で、
50Mの委任がある場合
生成数の中央値は50個程度
1エポックの報酬中央値は約₳36250
→固定費を引くと₳35910
プール3つ分の固定費が₳1020で、これはマージンが2.84%のときに同等になります。
この数値を元に、上記の累進制を設定させていただます。

皆さんからのご意見も募集します!

以上が、「プールの複数運営についてどう思うか」と聞かれた場合に、CoffeePoolがお答えする回答となります。
(DMだと文字量が多くなりすぎるので、記事という形で掲載させていただきました)
CoffeePoolは委任者の方の資産増大、分散化、そして今後のプール運営について検討を重ねています。
マージンや複数運営に関しまして、皆さんのご意見がございましたらぜひお聞かせください!

委任のご検討をお願いします☕️


本稿はカルダノステークプール「CoffeePool☕️」「CardanoKissa☕️」作成しました。
COFFEの活動を応援いただける方はぜひ、委任(Delegate)のご検討をお願いいたします😊

COFFE
[COFFE] CoffeePool☕️
● Active
Live Stake32.41 M ₳
委任者数611
飽和度42.09%
生成ブロック13,509
手数料2.5% + 340 ADA
Pledge101 ADA
KISSA
[KISSA] CardanoKissa☕️
● Active
Live Stake1.18 M ₳
委任者数10
飽和度1.53%
生成ブロック155
手数料2.5% + 340 ADA
Pledge101 ADA

🗳️「DRep ID」もぜひご検討ください!(クリックでコピーできます↓)

hix_coffeepool
hix_coffeepool ● Active
投票力 (Live Stake) 59,058,556 ₳
hix_coffeepool — DRep情報
🎯 Motivations(動機)
私がカルダノのガバナンスに参加する理由は「子どもたちに透明性の高い社会を残すため」です。カルダノのエコシステムが、より自由で公正な社会を実現するための基盤となれるよう、透明性と分散化を重視した視点で投票を行います。ブロックチェーンの本質は、独立した分散型のエコシステムであり、カルダノはこの原則を最も確実に実現したプラットフォームであるべきです。それを実現するシンプルな答えとして、カルダノにおける「小さなガバナンス」を目指します。分散化を徹底し、ガバナンス予算を最小限にとどめることで、市場原理を尊重した自由なエコシステムが実現できます。この精神をもとに、完全に独立した立場から、忖度のない投票を行っていきます。I participate in Cardano governance "to leave a transparent society for our children." I vote with a focus on transparency and decentralization, so that the Cardano ecosystem can serve as the foundation for a freer and more just society. The essence of blockchain is an independent, decentralized ecosystem, and Cardano should be the platform that most reliably embodies this principle. The simple answer to achieving this is "small governance" in Cardano. By thoroughly pursuing decentralization and minimizing governance budgets, we can create a free ecosystem that respects market principles. Based on this spirit, I vote from a completely independent position, without compromise.
📌 Objectives(目標)
透明性の高い社会を実現するため、最小限のガバナンス支出、DRepにおける委任上限の導入、DRep委任期間の創設など、さまざまなガバナンス改善提案を行っています。投票においては、コミュニティとの対話や意見交換をもとに判断を行い、可能な限り論拠を提出しています。判断においては、憲法だけでなくコミュニティとの連携におけるプロセスの適切性を重視し、小さなガバナンスの精神を第一に、長期的な視点から忖度のない判断を行なっていきます。coffeepool.jpでは詳細な解説記事を公開し、わかりやすい情報発信を心がけています。カルダノは壮大な実験です。失敗から学び、改善を重ねることで、人類初の大規模分散型ガバナンスを成功させることができると信じています。To achieve a transparent society, I propose various governance improvements: minimal governance spending, delegation caps for DReps, and term limits for DRep delegations. In voting, I make decisions based on dialogue and exchange with the community, providing rationale whenever possible. I prioritize not only the constitution but also the appropriateness of processes in community collaboration, adhering to the spirit of small governance and making independent judgments from a long-term perspective. I provide accessible information through detailed articles on coffeepool.jp. Cardano is a grand experiment. By learning from failures and continuous improvement, I believe we can succeed in humanity's first large-scale decentralized governance.
🎓 Qualifications(資格・経歴)
カルダノSPOであり、フリーランスの編集者/ライターです。大手出版社で書籍・雑誌・ウェブメディアの編集者として勤務した後、2018年からADAホルダーとなり、2021年からステークプール「CoffeePool」をスタート。Webサイト「coffeepool.jp」では、プロの編集者目線から、初心者向けにカルダノのさまざまな情報を提供。また、CIP1694開始時には、暫定憲法委員会の一人として憲法判断を執行。SPO、編集者、元憲法委員として、これまでカルダノのネットワーク、コミュニティ、ガバナンスなど多方面で貢献しています。I am a Cardano SPO and freelance editor/writer. After working as an editor for books, magazines, and web media at a major publishing company, I became an ADA holder in 2018 and started the stake pool "CoffeePool" in 2021. On my website "coffeepool.jp," I provide various information about Cardano for beginners from a professional editor's perspective. When CIP-1694 began, I served as one of the interim Constitutional Committee members, executing constitutional judgments. As an SPO, editor, and former Constitutional Committee member, I have contributed to Cardano across multiple areas: network, community, and governance.


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