SPO投票実験の選択肢について、COFFEの考え

カルダノ情報

【2023/05/19追記】

カルダノのメインネット、エポック412にて、カルダノ初の「オンチェーンSPO投票」が開始されます。
この「オンチェーンSPO投票」とは、カルダノが「真の分散化」に向かうための第一歩であり、ADAホルダーを代表してSPOが投票する、代表委任形式で行われます
ヴォルテール期では、カルダノの重要なアップグレードなどの判断を「オンチェーン投票」によって決定する構想が進められています(詳しくはCIP-1694にて)。
今回は、カルダノ財団によってオンチェーン投票の基礎となるプログラムが構築され、2023年5月16日から始まるエポックから4えぽっくかけて「投票実験」が行われます(詳しくはこちらの記事にて)


今回の投票では、エポック412に投票内容が発表され、数日後からエポック413にかけてSPOがそれぞれの判断によって投票を行うことができます。
SPOの投票結果はブロックチェーン上で確認することができ、エポック414〜415では、ADAホルダーはその結果を見ながらSPOへの委任を継続するか、変更するかを判断することができます。
そしてエポック415の最終日の結果がスナップショットされ、その結果が発表されるという流れとなっています。

COFFEでも試験的なアンケートを実施

今回の投票は実証実験に近いということもあり、CoffeePoolでは、実際に投票が行われたシチュエーションを想定し、Twitterにてアンケートを実施してみました。

約2,000ビューで57票ということで、主にSPOや長期ホルダーの方が投票されたと思われます(解説も入れましたが、パラメータ変更についてという、ちょっとマニアックな内容だったことが原因と思われます)。

今回、カルダノのメインネットで行われる「SPO投票」は「あくまで技術的な実験」であり、今回の質問リストは「アンケート的な」位置付けとなっています。実際にSPOの投票によって直接の変化があるわけではありません。
しかし、皆さんの委任を背負うSPOの一人として、実際のSPO投票を想定して、アンケートの結果とCoffeePoolの見解についてまとめていきたいと思います😊☕️

今回の投票について、CoffeePoolの見解

CoffeePoolでは、今回のSPO投票に対して、事前にギルド内で考えをシェアしていました。

結論から言うと、この中の選択肢から選ぶとすれば
「K値は維持、最低固定費は₳170に変更」
が最もCoffeePoolの見解としては近いと考えています。
アンケートでは最も得票が少ない選択肢ですが、Twitterアンケートの回答者が必ずしも委任者とは限らない、また論理的に他の選択肢が考えられない、と言う理由から、現状では上記の投票で変更はありません。
また、本来CoffeePoolでは、「累進マージン」を提唱しており、選択肢としては「他の案を提案する」ということも可能です。しかし、累進マージンへの変更と比較した場合、パラメータの変更は最も調整が容易であり、実験をして元に戻すことも可能なため、非常に低リスクな要素です。

つまり、「リワード設計を根本的に変更する議論よりも先にパラメータ調整を行う」ことは理にかなっており、今回はパラメータ調整についての意見の反映を行うことが合理的と判断しました。

K値の変更は、「現状維持」と判断します

K値は分散化を促す要素として不十分と考えます

まずは、K値について考えてみたいと思います。
K値は、「そのプールに委任できる限界値」を決めるもので「K=500」では現在、₳72M程度がボーダーライン(Saturation:飽和点です(ラインは₳の供給量に合わせて少しずつ上昇します)。

結論から話すと、CoffeePoolでは「K値は現状維持」というスタンスです。
これは2年半ほどプールを運営した経験から「K値は分散化に寄与しないのでは?」という疑いを持っているためです。
というのも、SPOの心理として「飽和するほど人気が出たら、もう1つプールを建てたい」と考えるものだからです。努力に見合う対価が欲しいと考えるのは、ゲーム理論的にも自然な感覚です。

K値を1000にすることで「飽和点=₳32M」程度となるため、委任者は他のプールに移動せざるを得なくなり、分散化が促進されるという期待があります。
しかし実際には、₳60Mを超えてきたプールは一般的にプールを分割させ、委任者は同じ運営者のプールに委任する場合の方が多いのが現状です。
委任者の立場としても、自分が信頼する、応援するプールに委任を継続したいと考えるのは自然なことです。
これは、ゲーム理論の原則である「自己利益の最大化」という行動原理として自然な行為です。
そのため、「K値の変更は分散化に寄与しない可能性が高い」と考えています。
これは、IOGでも長い間の調査しているものの、結論が出ない状況となっています。

詳しくはこちら→Staking parameters and network optimization – where next for k and min fee?

プールの分割を助長し、ネットワークリスクとなる可能性もある

もう1つの懸念として、急激なK値の変更は、実態に何の影響も与えないだけでなくネットワークリスクも向上させる懸念があります。
管理するプールが2倍に増加することでオペレーションが煩雑になり、アップデートなどの対応が鈍るリスクが考えられます。

これは一般のステークプールだけでなく、取引所プールにも大きな影響を与える可能性があります。管理するプールが単純に2倍になるため手数料が高くなるほか、取引所のレスポンスも低下し、ハードフォーク対応にも遅延が出る可能性があります。
バイナンスのプール運営数が倍になった場合、非常に膨大な作業が発達することは容易に考えられます。こうなると、ハードフォーク対応などに影響が出る恐れも懸念されます。

以上を考慮すると「K=1000はやりすぎ」というのが妥当と考えます。

最低固定費については、「減額しても良い」と判断します

最低固定費の₳340は、プール乱立の一要素となっている

次に、「最低固定費」について考えてみたいと思います。
最低固定費は現在₳340ですが、「現状の設定は分散化に悪影響を与えている」という声があり、CoffeePoolでもそれに賛同しています。

その理由は、「複数プールを建てて、₳340×プール数で稼ぐのが効率的」であるためです。(CoffeePoolが実施している「累進マージン」の投稿で解説しています)

まず、委任者の方の立場からは、「できるだけ手数料が少ない(0%など)プールに委任し、できるだけ多く報酬を得たい」と思うのが自然です。そのため、「変動マージンをできるだけ低く」設定したプールに委任が集まりやすい傾向があります。
「最低固定費₳340」は、もともと₳1が10円程度だった時に決定された金額で、当時はプール運営ギリギリの利益しか出せませんでした。しかし現在のレートでは、コンスタントに1ブロック生成することができれば「そこそこの」利益を出すことができます。
そこで問題になっているのが「低マージンプールの乱立」です。これは、1人のSPOが「低マージンプールを乱立」させることで、「₳340×運営プール数の利益」を出す戦略です。
例えば、「変動マージン1%」を謳う「1PCT」プールは、ステーキング開始時から多数の委任を集め、巨大プール群として乱立が続いています。

このバターンでは「₳5M程度」の委任があれば₳340をコンスタントに稼ぐことができ、プールを乱立させればさせるほど大きな収益を上げることが可能になります。これは、同じ総量の委任を集めるプールを1つ運営するより利益率が高くなります。
この最低手数料₳340設定により「1人のSPOが大量のプールを管理する」という状態に拍車をかける事態となっています。
先ほども触れましたが、1人が大量のプールを管理すると、例えば管理者が何らかのトラブルで運営できなくなった場合、大量のブロック生成がストップし、ネットワークに大きな悪影響をもたらす懸念があります。

そこで「最小固定費を₳170に減少」させるとどうなるでしょうか?
この場合、「変動0%、固定費₳340」より「変動0%、固定費₳170」の方が魅力的になるため、固定費を₳170にしないと「最低手数料」を謳うことができなくなります。
₳170に変更すると収益性が下がるため「運営プールの数を倍にしよう」と考えるかもしれません。

そういう意味では「1SPOの0%プールの乱立」を防ぐ可能性はあまり変わらない可能性があります。

最低手数料は、多すぎると小規模プールを圧迫する

その一方で、「固定費₳340」の問題は「1ブロック生成に対する比重が大きい」という、もう1つの問題があります。
現在、1ブロック生成した際のリワードは₳500程度であり、「1エポックに1ブロック生成するプール」においては、リワードの半分以上が固定費で引かれてしまう状況となってしまいます。

あるプールでは、1ブロックを生成した際のリワード総量が「₳544.41」となっており、固定費の₳340は総量の60%を超えてしまいます。
このように、₳340の固定費が重いため、委任量が少ない(毎エポックのブロック生成量の少ない)プールではホルダーに配布されるリワードが少なくなってしまい、集まりにくい状況が生まれているという声が多数寄せられています。

このような現状を改善するために、委任量を集める戦略の幅を広げるという意味で、固定費を下げるメリットがあると考えます。

また、委任量の大きいプールにおいては、固定費が半額になった分を変動マージンを変更することでリワード量を調整することができます。

CoffeePoolでは以前から「累進マージン制」を行なっていますが、「委任量が増えるほど収益が増える」という仕組みにすることで、プール運営の質が上場し、ネットワークやコミュニティの信頼性を高められると考えています。

まとめ:オンチェーンSPO投票に向けて

以上の観点から、それぞれの選択肢を見ていきたいと思います。

①飽和点も固定費も現状維持(K=500、固定費₳340)
→K値においては現状維持で良いと判断しますが、固定費に関しては小規模プールにおける問題があります。

②固定費のみ変更(K=500、固定費₳170)
→K値においては現状維持で良いと判断。固定費に関しては小規模プールにおける問題があるため、₳170への変更は考慮して良いと考えます。
各プールにおいては固定費が下がるため、マージンによって収益を上げる方式に移行することで運営の「質」の向上が見込める可能性があります。

③飽和点のみ変更(K=1000、固定費₳340)
→前述の通り、飽和点を下げても分散化が改善しないと考えます。また、固定費を下げずに飽和点を下げると「0%で固定費₳340プール」の収益性が高まり、乱立に歯止めが効かなくなる可能性があるため、この選択肢には重大な懸念があります。

④飽和点も固定費も変更(K=1000、固定費₳170)
→飽和点が半減し固定費も半額となるため、さらにプールの乱立が増える懸念があります。また、収益性が下がることで全体のモチベーションが低下し、現在の相場ではプール運営の維持が難しくなるプールが増加する可能性があります。
収益性は変動マージンの調整によって対応できる可能性もありますが、飽和点と固定費の双方を同時に変更するのはネットワークに混乱をもたらす懸念があります。

今回のSPO投票においては②固定費のみ変更(K=500、固定費₳170)という選択肢がCoffeePoolとして一番近い見解と考えと考えました。

投票では「コメント追記」が可能と判明

その一方で、前述の通りCoffeePoolでは「累進マージン制」が最も分散化に即していると考えており、今回の考察からも「やはりパラメータ変更だけでは分散化は難しいのではないか?」と改めて考えさせられました。
その一方で、変動マージンはプロトコル全体に大きな変更を加える必要がある案であり、パラメータ変更はハードフォーク不要で実験ができる、比較的低リスクな変更案という側面があります。
まずはパラメータ変更を試し、その結果を見ながらより深い議論に進めていくことが良いと考えた点と、今回の投票では上記の選択を取りたいと考えていました。

ところが、実際のSPO投票においては、メタデータによる「コメント追記」の機能があることが判明しました。

実際の「オンチェーンSPO投票」では「上記のどれでもない」という選択肢もあったのですが、「この選択肢をポンと押しても何にもならないのではないか?」という懸念から、もともと選択肢として考えていませんでした。
しかし、コメント機能によって意見を入力することができることが判明したため、あえて100%の確信を持った選択肢を選ぶ必要がないと判断しました。

最終的には上記のどれでもない(最低固定費の累進方式を提案)という投票を行いたいと考えています。

今回のSPO投票は基本的に技術的な実験の意味合いが強く、この投票が直接パラメータ変更に結びつくわけではありません。
しかしながら、ですが、アンケート内容がリワードに直結する非常に重要な内容となっており、「SPOの視点」と「ホルダーの皆さんの視点」を比較する、非常に良い機会となっていると思います。今回のSPO投票と、CoffeePoolのアンケートなどに関してご意見・ご感想がありましたら、ぜひお聞きしたいと思っています。

今後とも、カルダノ、そしてCoffeePoolをよろしくお願いいたします!

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🎯 Motivations(動機)
私がカルダノのガバナンスに参加する理由は「子どもたちに透明性の高い社会を残すため」です。カルダノのエコシステムが、より自由で公正な社会を実現するための基盤となれるよう、透明性と分散化を重視した視点で投票を行います。ブロックチェーンの本質は、独立した分散型のエコシステムであり、カルダノはこの原則を最も確実に実現したプラットフォームであるべきです。それを実現するシンプルな答えとして、カルダノにおける「小さなガバナンス」を目指します。分散化を徹底し、ガバナンス予算を最小限にとどめることで、市場原理を尊重した自由なエコシステムが実現できます。この精神をもとに、完全に独立した立場から、忖度のない投票を行っていきます。I participate in Cardano governance "to leave a transparent society for our children." I vote with a focus on transparency and decentralization, so that the Cardano ecosystem can serve as the foundation for a freer and more just society. The essence of blockchain is an independent, decentralized ecosystem, and Cardano should be the platform that most reliably embodies this principle. The simple answer to achieving this is "small governance" in Cardano. By thoroughly pursuing decentralization and minimizing governance budgets, we can create a free ecosystem that respects market principles. Based on this spirit, I vote from a completely independent position, without compromise.
📌 Objectives(目標)
透明性の高い社会を実現するため、最小限のガバナンス支出、DRepにおける委任上限の導入、DRep委任期間の創設など、さまざまなガバナンス改善提案を行っています。投票においては、コミュニティとの対話や意見交換をもとに判断を行い、可能な限り論拠を提出しています。判断においては、憲法だけでなくコミュニティとの連携におけるプロセスの適切性を重視し、小さなガバナンスの精神を第一に、長期的な視点から忖度のない判断を行なっていきます。coffeepool.jpでは詳細な解説記事を公開し、わかりやすい情報発信を心がけています。カルダノは壮大な実験です。失敗から学び、改善を重ねることで、人類初の大規模分散型ガバナンスを成功させることができると信じています。To achieve a transparent society, I propose various governance improvements: minimal governance spending, delegation caps for DReps, and term limits for DRep delegations. In voting, I make decisions based on dialogue and exchange with the community, providing rationale whenever possible. I prioritize not only the constitution but also the appropriateness of processes in community collaboration, adhering to the spirit of small governance and making independent judgments from a long-term perspective. I provide accessible information through detailed articles on coffeepool.jp. Cardano is a grand experiment. By learning from failures and continuous improvement, I believe we can succeed in humanity's first large-scale decentralized governance.
🎓 Qualifications(資格・経歴)
カルダノSPOであり、フリーランスの編集者/ライターです。大手出版社で書籍・雑誌・ウェブメディアの編集者として勤務した後、2018年からADAホルダーとなり、2021年からステークプール「CoffeePool」をスタート。Webサイト「coffeepool.jp」では、プロの編集者目線から、初心者向けにカルダノのさまざまな情報を提供。また、CIP1694開始時には、暫定憲法委員会の一人として憲法判断を執行。SPO、編集者、元憲法委員として、これまでカルダノのネットワーク、コミュニティ、ガバナンスなど多方面で貢献しています。I am a Cardano SPO and freelance editor/writer. After working as an editor for books, magazines, and web media at a major publishing company, I became an ADA holder in 2018 and started the stake pool "CoffeePool" in 2021. On my website "coffeepool.jp," I provide various information about Cardano for beginners from a professional editor's perspective. When CIP-1694 began, I served as one of the interim Constitutional Committee members, executing constitutional judgments. As an SPO, editor, and former Constitutional Committee member, I have contributed to Cardano across multiple areas: network, community, and governance.


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