【超まとめ】チャールズが語る「カルダノ5柱」の成長戦略」

カルダノ情報

Charles Hoskinson氏が、2025年12月2日(日本時間)に、新たな動画「Thoughts on Growth for Cardano in 2026 (Pentad Series)(2026年のカルダノの成長戦略について)」を公開しました。
今回は「2026年に Cardano をどのように本気で成長させるか」という、壮大な戦略が語られています。
その軸にあるのが、新しく提案されている 「Pentad(5柱)構造」 と、DeFi・インフラ・コミュニティ成長のロードマップです。
本記事は、この動画の内容を簡単にまとめ、今後のカルダノにどのような影響を与えていくかを考察していきます。


分散型ガバナンスにおける「リーダーシップ」の必要性とは?

カルダノはすでに、CIP-1694により「流動民主主義」をベースとしたガバナンスが実行されています(詳しくは「流動民主主義」をクリック)。これにより、

  • カルダノ憲法(→ガバナンスアクションのルールとガイドライン)
  • 立法(→DRepの投票による意思決定)
  • 司法(→憲法委員会によるガバナンスアクションのチェック)

という、オンチェーン・ガバナンスの土台が構築され、すでに多くのガバナンス提案が実施され実行フェーズに移行しています。
その一方で、多くのガバナンスアクションが並行して提案されることで、コミュニティが一枚岩で動くのではなく、バラバラの方向へ動いて軋轢が生まれつつある、という課題も見えてきました。
カルダノがオンチェーン・ガバナンスへと移行した後、多くのガバナンスアクションが通過・否決されてきましたが、以前のような中央集権的な運営団体がいなくなったことで、「カルダノは今後どこに向かうのか?」が見えづらくなってしまいました。

「5柱」による、新たなリーダーシップ・レイヤーの構築

イラストや役回りは、あくまでこれまでの実績からのイメージです

ホスキンソン氏とInput Outputは、この「リーダーシップ不在」の問題を解決する方法として、意思決定におけるリーダーシップを執る「カルダノ執行部」が必要であることを語りました。その叩き台として、5団体による「5柱(Pentad)」構造によって、カルダノのロードマップを実現することを発表しました。

この5団体が「一つのチーム」として協調し、

  • ブリッジ
  • ステーブルコイン
  • オラクル
  • アナリティクス(分析)

などの「クリティカルインフラ」を一丸となってまとめ、コミュニティと対話しながら導入するとしています。
これまでは、それぞれがバラバラに動くことによって議論の場が際限なく拡大し、ネットワークやコミュニティにおける大きな負担となってしまっていました。
今後は、コミュニティにおけるトップ(ティア1)事業者として「5柱構造の執行部」として動くことで、コミュニティとの集団交渉(collective bargaining)で意思決定を行なっていく、という構想です。
つまり、現在のガバナンスで欠けていた「行政機関」として「5柱による連携」を行なっていく、ということを掲げています。

  • カルダノ憲法(→ガバナンスアクションのルールとガイドライン)
  • 立法(→DRepの投票による意思決定)
  • 司法(→憲法委員会によるガバナンスアクションのチェック)
  • 行政(→5団体による政策の提案と実行)<NEW!>

各団体がどの分野を担うか、という具体的な話はありませんでしたが、おそらくはそれぞれの分野を5団体が有機的に連携して実行していくのではと考えられます。
現在までの動きから考えると、それぞれを下記のように整理できると思われます。

①技術柱(IOG)

ホスキンソン氏も動画内で「we’re the elite engineering firm(私たちはエリート技術企業だ)」と語っているように、Input Outputは、これまでリサーチと開発を担当してきました。

  • ブリッジ
  • オラクル基盤
  • 分析インフラ
  • コアプロトコル(Hydra, Leios, Ouroboros, Plutus など…)

など、今後も Cardano の心臓部を作る「技術の源泉」としてリードしていくと考えられます。

②規範柱(カルダノ財団)

これまでカルダノ財団は、エコシステムにおける標準化・ルール・信頼の土台の構築を主眼として活動してきた実績があります。リサーチやアダプション(技術拡大)にも力を注いでいますが、健全なエコシステムへの貢献という目的に多くの力を注いでいるイメージです。

  • 規制まわりの対応
  • ガバナンス実行(CIP、オンチェーン投票、監査的な役割)
  • 国際標準化機関との連携(ISOなど)
  • コンプライアンスの橋渡し

カルダノ財団は 「Cardano の公的イメージと制度的側面を担う機関」として、連携してリーダーシップをとっていくと考えられます。

③商柱(エマーゴ)

エマーゴ はこれまで、Yoroiウォレットの開発を中心に、ステーブルコイン「USDA」リリースへの働きかけや、dApps開発企業の誘致、Yoroi連携によるマーケットの構築など、ビジネス部門に力を入れています。

  • 企業連携
  • ステーブルコイン事業
  • Yoroiウォレットとのビジネス連携

など「商業サイドの窓口」として、今後のリーダーシップをとっていくと考えられます。ホスキンソン氏も動画で、「EMURGO has strong Asia connections(エマーゴはアジアにおける強いコネクションがある)」と語っており、アジアにおける展開についても主導的な立ち位置で活動するとみられます。

④結束柱(インターセクト)

Intersect(インターセクト)は、コミュニティとの連携を目的としたメンバーベース組織であり、「カルダノのコミュニティ連携&意思決定プロセスの中心」として活動してきました。

  • コミュニティ議論の場の提供
  • オフチェーン投票の取りまとめ
  • ガバナンス連携

インターセクトがコミュニティにおいて「ガバナンスのティア1」として認められることで、より「ガバナンスの中心」としての役割を担いやすくなると考えられます。

⑤実用柱(ミッドナイト財団)

ミッドナイト財団は上記団体より若い組織ですが、暗号通貨における「プライバシーとコンプライアンス」問題を解決するエコシステムとして、エコシステム内において最大級の期待がかかっています。
(詳しくは「ミッドナイトまとめ記事」を参照ください)

  • プライバシーとコンプライアンスの両立
  • エンタープライズ向けのサービスの導入
  • 大規模マスアダプションの実利用

など、暗号通貨であるカルダノ・ADAでは解決しきれなかった、実社会における導入を拡大させる存在となるでしょう。今はまだ生まれたばかりの団体ですが、今後のエコシステムにおけるキラーアプリの提供が期待されます。

5柱とコミュニティの連携によって、エコシステムを拡大する

上記のホスキンソン氏の動画では、これら5柱を中心として「Executive function(執行部)」=実際に物事を動かす役割を担うことで、よりダイナミックなガバナンスを実行していく、という構想が語られています。
その上で、成長の指標として、当面はわかりやすく

  • MAU(Monthly Active Users)
  • 1日あたりトランザクション数
  • TVL

などを使いつつ、最終的には 「5柱(Pentad)」から公式な エコシステム KPI(Key Performance Indicators、パフォーマンス指標) を提案し、「今後の予算はこの KPI の成長と結びつける形にしたい」としています。

今後の具体的な施策とは?

成長戦略の中核になるのが、「DeFi dApps を10〜15個選び、徹底的に育てる」というアイデアです。
ホスキンソン氏によると、dAppsに共通する問題として、

  • 資金不足(underfunded)
  • 人手不足(understaffed)
  • 取引量・ユーザー・TVL が少ない
  • UI/UX が弱い

といった点が挙げられるとしています。ここを「5柱」がテコ入れし、

  • 資金・人材のサポート
  • UI/UX の改善(dApps・ウォレット両方)
  • それぞれの dApps の USP(強み・差別化要素) の明確化
  • Bitcoin・XRP・他 UTXO チェーンなどからの資本流入(aggregators of capital)
  • コミュニティ流入・定着(aggregators of people)

をセットで進めていく、という構想が語られました。

ミッドナイトも中心的な役割を担う

ホスキンソン氏によると、ミッドナイト(Midnight) はこの構想内で「ハイブリッド dApps」 の提供という大きな役割を担うとのこと。
カルダノの dApps が ミッドナイト と連携すれば、現在のDeFiでは軽視されがちな「プライバシー」の要素を取り込むことが可能になります。これに HydraLeios によるスケーラビリティ強化が加われば、「高速+プライバシー+分散型ガバナンス」という、他チェーンにはない強みを実現できるとしています。

この成長を加速するために、これらの施策を実行していくと語ります。

  • 隔週のハッカソン の恒常化
  • X ではなく、Discord など「ノイズが少ない集約チャネル」でのコミュニティ形成
  • 分析会社・VC・機関投資家向けのセミナー&資料(「Cardano にこんなエコシステムがある」ことを直接伝える)

つまり、人材・情報の「集約」と「発信」 を強化していくという構えです。「Cardano ってゴーストチェーンじゃないの?」「そんな dApps あったの知らなかった」と言われるのは、単に情報源(レポートやダッシュボード)に載っていないからであり、それを正面から取りに行こう、と語られています。

IOGの今後の動き「カルダノビジネスユニット」構想
Screenshot

IOG側では、内部組織として「Cardano Business Unit(CBU、カルダノビジネスユニット)」 を結成し、エコシステム担当・エンジニアリング・ガバナンスを束ねて他の柱への窓口にする構想も語られています。さらに、Google などがすでに取り入れている AI を活用した開発(いわゆる Vibe engineering) によって、研究から実装までのリードタイムを「5〜10年 → 1〜2年」に圧縮することも検討しているとのこと。
具体的な「目玉」としては、

  • オフチェーン利回りに基づく RealFi dApps(ケニア・ウガンダで100万件以上のローン実績) → ベアマーケットに強い、Cardano 専用の金融 DApp として 2026 年に本格ローンチ予定
  • Hydra 対応 dApps の拡大(Delta DeFi などを皮切りに、ショーケース dApps を順次 Hydra 化)

が挙げられています。これにより、個々の dApps が「Solana 並のスピードと、安価なオンチェーンフットプリント」を獲得することを目指す、としています。

「5柱」のガバナンスにおける立ち位置は?

ホスキンソン氏によれば、この「5柱執行部」は憲法とDREP によっていつでも権限を取り消せる 委任型の執行部 であり、そのミッションは明快としています。

  1. クリティカルインフラ(ブリッジ・ステーブルコイン等)の統合
  2. DeFi ショーケース dApps の強化と外部資本の呼び込み
  3. コミュニティ・開発者・機関投資家への一貫した発信と成長指標(KPI)の可視化

ホスキンソン氏は、「Ethereum も Solana も、最初は小さかった。Cardano も同じように、協調と実行さえできれば、2026 年には“最も成長した DeFi エコシステム”になれる」と締めくくっています。
鍵になるのは、技術ではなく、協調・ガバナンス・実行力 だ、ということを強調しています。

ガバナンスアクション「カルダノ統合予算」で、5柱構想が本格始動

これを背景に、11月28日に、ガバナンスアクション「Cardano Critical Integrations Budget」が提出され、圧倒的多数で賛成票が投じられています。
これは上記の「5柱構想」を実行するための予算として提出されており、ステーブルコインの統合をはじめ、ブリッジやDeFi、dApps、ミッドナイトを強力に推し進めるために必要であることが謳われています。

CoffeePool の解説と見解「指導力の統合は歓迎だが、リスクも」

CIP-1694以降のカルダノは「舵取り人不在」になっていた

実は、チャールズ氏を含め Input Output は早くからこれを潜在的な問題として考えており、2025年10月に大阪で行われた「ガバナンス・ワークショップ」でも、この「実行機関の必要性」についてコミュニティに議論を投げかけていました。
カルダノが分散型ガバナンスを開始して以来、IOG側は、カルダノの分散性を重視するためか、DRepとして参加はせずガバナンスにおいては静観を貫いていました。その間、多くの団体がトレジャリーからの予算引き出し提案を提出し、トレジャリーを巡って様々な議論が巻き起こっていました。
また、IOGとエマーゴが出資して始まったインターセクトには、当初はカルダノ財団が参加しなかったことなどについて IOG のホスキンソン氏が批判を強め、長らく大きな禍根の一つとなっていました。
こうした背景により、CIP-1694以降のカルダノではコミュニティメンバー全員が競争相手という「万人の万人に対する闘争状態」によって連携をとったエコシステムの成長に支障をきたす事態に陥ってしまいました。

トマス・ホッブス「リヴァイアサン」

コミュニティの皆さんの中でも、IOGとカルダノ財団という二大巨頭が対立することで、「誰についていっていいのか分からない」「誰を信頼すべきか分からない」という「舵取り人の不在」状態に陥っていました。

「実行機関レイヤー」の構想は、カルダノ停滞の打開策になる

このような状況の中、創業3団体が、インターセクトとミッドナイト財団と手を取り合い「5柱」として実行団体を組織することは、ガバナンスにおける大きな安心材料となることは間違いないでしょう。
また、これまでは創業3団体が大きな予算を提出することに対して、「中央集権だ」という批判も大きく、創業団体のガバナンスへの参加にネガティブな意見も少なくありませんでした。
しかし、彼らが「5柱」として連携して「自分たちがガバナンスをリードする」と宣言することで、コミュニティの見方にも変化すると考えられます。実行力のある団体が、エコシステムの将来に責任を持って取り組むと宣言することで、コミュニティ内において、彼らがダイナミックな提案を出すことが許容される雰囲気作りにも役立つと思われます。
今後のカルダノのガバナンスやエコシステム拡大において、「5柱連携」は起爆剤になる可能性を秘めていると考えます。

より強い「透明性」と「説明責任」が問われる

その一方で、これまで長らくのエコシステムの停滞について、創業団体には厳しい視点が向けられる必要があります。
「実行機関の設立」は、言うなれば「ソフト中央集権」です。「コミュニティの賛成を得た」という大義名分を得ることで、彼らはよりダイナミックな予算を活用できる一方で、カルダノADA(ゆくゆくはNIGHT)の価値が大きく左右されることにつながります。
ここで厳しい目として、これまでのカルダノにおけるマーケティングやエコシステムの拡大は、創業3団体の時期に、どれほど拡大したでしょうか?
多くのコミュニティの意見としては「技術面では成功したが、マーケティング面では成果を得られていない」というのがフラットな視点でしょう。事実、これほど分散化とスケーラビリティが同居したチェーンでありながら、マーケット規模では10位に入るかどうか、という状況が長らく続いています。
このような状況下において、創業からずっとマーケティングに力を入れてこなかった創業団体は「エコシステム拡大の実行能力はあるのか?」という問いに答えていく必要があるでしょう。
そうでなければ、巨額のADAを引き出しながら、エコシステムは成長せず、利用者は減り、ADA価格は下落する…という悪循環に陥るリスクがあります。そしてそのリスクは、引き出したADAを現金化する実行団体ではなく、ADAをガチホするホルダーが取ることになります。

こうした視点をもとに、今回提出されたガバナンス提案を見てみると、「契約の守秘義務のため」という名目によって予算の詳細な内訳や各部門の目標設定、具体性のある施策が触れられていませんでした。
実行機関としてより強い権限を委任される団体の提案として、このような不透明な予算案を素通りさせてしまうことは、創業団体によるプチ中央集権に近づく危険性が伴います。また、予算配分や具体的な目標設定が示されていないため、コミュニティによる施策の評価ができません。
こうした背景から、CoffeePool管理人として、5柱のガバナンス提案に「反対票」を投じました。これはひとえに、「実行能力の証明をしようとしていない」ことに対する一票としています。

強い権限には、強い責任が伴います。コミュニティは盲信することなく、冷静に彼らの提案を判断していく必要があると考えます。
カルダノ「5柱」の結成を歓迎しつつも、彼らの活動を冷静に見守っていきましょう。

<了>

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